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第三章・8

 夕食は外で済ませ、マンションへ戻った誠と露希。 「私がバスを使っている間に、露希は今日買ったものを片付けるといいよ」  そう言って、誠は12畳の洋間を露希に与えた。  クローゼットに服を収め、小箱にアクセサリーをしまい終えたところで、誠はバスルームから出てきた。 「露希も、シャワー使って」 「バスタブに入っても、いい?」 「いいけど、のぼせるなよ」  誠の笑顔は、本当にいい。  思わず頬を赤らめながら、露希は逃げるようにバスルームへ駆け込んだ。  優しい、人。  優しい、誠さん。  素敵なαの、誠さん。  バスタブの中で、露希は幸せな気分に浸っていた。 (誠さん、僕のこと抱いてくれるのかなぁ)  今まで、嫌々ながら大勢の男たちに犯されてきた。  自分から抱かれたい、と思った人間は初めてだ。  身も心も火照らせながら、露希はバスルームから出た。

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