29 / 100

第四章・2

 唇を合わせてしまうと、テクニックも何もかも忘れてしまった。  僕のために、朝ご飯を作ってくれる誠さん。  そのエプロン姿に、ありがとうの意味を込めて。  心を込めて、キスをした。 「ん、んぅ。あ、はぁ、あ……」  思わず声が漏れてしまう。  つま先立ちで伸びた身体を、露希は誠に擦り付けた。  起き抜けで勃ちあがっている身体の中心を、押し付けた。  だが、これから、というところで誠は露希から離れてしまう。 「OK、いい感じだ。冷めるから、早く食べよう」 「うん……」  生煮えの身体と心。  僕は、どうすればいいんだろう。 (このままだと、誠さんのこと好きになっちゃうかもしれない)  そんな危うさを打ち消すように、露希はもくもくと食事を摂った。

ともだちにシェアしよう!