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第四章・2
唇を合わせてしまうと、テクニックも何もかも忘れてしまった。
僕のために、朝ご飯を作ってくれる誠さん。
そのエプロン姿に、ありがとうの意味を込めて。
心を込めて、キスをした。
「ん、んぅ。あ、はぁ、あ……」
思わず声が漏れてしまう。
つま先立ちで伸びた身体を、露希は誠に擦り付けた。
起き抜けで勃ちあがっている身体の中心を、押し付けた。
だが、これから、というところで誠は露希から離れてしまう。
「OK、いい感じだ。冷めるから、早く食べよう」
「うん……」
生煮えの身体と心。
僕は、どうすればいいんだろう。
(このままだと、誠さんのこと好きになっちゃうかもしれない)
そんな危うさを打ち消すように、露希はもくもくと食事を摂った。
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