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第四章・4

「退屈だな~」  昨日買ってもらったタブレットで動画を見ていた露希だが、すぐに飽きてしまった。  外に出てぶらぶらしても、何もやることを思いつかない。  一人でお腹を空かせている時は、とにかく客を探して廻っていたのだが。  有り余るほどの金と時間。  その活用法を、露希は知らなかった。 「そういえば、誠さん夕食はどうするんだろ」  もう、5時を過ぎた。  晩ご飯の準備をする頃だ。 「昨日は、お寿司食べに連れてってもらったけど」  誠のエプロン姿が、露希の胸に浮かんできた。  僕のために、朝ご飯を作ってくれる、誠さん。 「そうだ。今夜は僕が何か作ろう!」  そうと決まれば、食材の買い出しだ。  露希は、弾んだ足取りでマーケットに向かった。

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