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第四章・5
「何か作る、ったって、カレーライスくらいしかできないけど」
不慣れな手つきでジャガイモやニンジンの皮をむき、涙を流しながら玉ねぎを切った。
肉を軽く炒め、野菜と一緒に鍋で煮る。
ルーを割り入れると、カレーの良い香りがキッチンに広がった。
「後は弱火で。このうちに、サラダ作ろう」
レタスをちぎり、トマトを切った。
コーンを散らし、キュウリを添えた。
「ああ、早く誠さん帰ってこないかなぁ」
「ほぅ、いい匂いだ」
「わぁ! びっくりしたぁ!」
いつの間にか、音も立てずに誠は傍に立っていた。
「露希が、カレーを作って待っててくれるなんてね」
「美味しいかどうか、解んないけど」
美味しいに決まってるじゃないか、と誠は露希にキスをした。
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