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第四章・6

「ん~。っん、ふ。んんぅ……」  ただいまのキスにしては、やたら濃厚だ。 (これも、僕がどれだけキスが巧くなったかを確かめるため、なんだよね)  きゅん、と胸が痛む。  涙がにじみそうになる。  ふと、誠が離れた。 「どうかしたか?」 「ん? 何でもないよ。何で?」  ふむ、と誠は首を傾げた。 「今朝より、ぎこちなかった」 「ご、ごめんなさい。今度は、ちゃんと上手にやるよ」 「謝ることでもないさ。カレーを食べよう」 「うん」  でこぼこのジャガイモと不揃いのニンジンが入ったカレーだったが、誠は美味しいと言って食べてくれた。  おかわりも、してくれた。

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