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第五章・7

「えっと。じゃあ、遊園地に行ってみたい!」 「遊園地だな。いいよ、明日の朝から、出かけよう」 「やったぁ!」  わくわくと目を輝かせる露希は、こうしてみると普通の少年だ。  そんな彼が、どうして街を徘徊して売春なんかやっていたのか。 (それを聞き出すには、もう少し信頼関係を築いてからだな) 「どうしよう。楽しみで、眠れなくなってきちゃった」 「それは困るな。ゆっくり休んで」 「ね、誠さん。羊の数、数えてよ」 「ん? あぁ。羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が四匹……」  とろとろと寝入ってゆく露希は、幸せを噛みしめていた。  ふかふかのベッド、石鹸の香り、ほどよく満ちたお腹に、優しい誠さん。 (僕、こんなに幸せでいいのかな……?)  ぽんぽんと軽く背を叩いてくれる誠の手を心地よく感じながら、露希は眠りに落ちていった。

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