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第六章 露希の過去
プレーンオムレツに、ペースト状にしたカボチャのゴマサラダ。
ベーコンのコンソメスープに、フルーツヨーグルト。
トレイに乗ってベッドに運ばれてきた朝食を、露希はきれいに平らげた。
「ああ、美味しかった!」
「それはよかった」
「食べたから、元気が出たよ! 遊園地、行こうよ!」
「まだ諦めてなかったのか……」
体温計で熱を測ると、まだ38℃ある。
「おとなしく寝てなさい」
「ちぇっ」
ぱふん、とベッドに身を投げ出した露希は、思いついたように言った。
「ね、誠さん。どうしてこんなに、料理が上手なの?」
「うん? 料理教室に通ったことがあるんだ」
「わざわざ? どうして?」
「そうだなぁ、いずれ好きな人ができた時、その人に喜んでもらいたいから、かな」
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