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第六章・2

 えっ、と露希は考えた。 (僕に、そんな料理を作ってくれる、ってことは。もしかして、誠さんは僕のことが……?)  ばっ、と勢いよく、露希は掛布を被った。  ドキドキする。  いや、そんなバカな。  確かに誠さんは優しくて、好きだけど。  今度は、そうっと掛布から半分顔をのぞかせて、誠を見た。 「誠さん。今、好きな人って、いる?」 「いや、残念ながらいないよ。恋をするって、なかなか難しいね」  何て、あっさりした返事。  勝手にどぎまぎした自分が、恥ずかしい! (そう、だよね。誠さんが僕に優しいのは、組長さんへのプレゼントだからだよね)  でも、なんだか泣きたい気持ちになるのはなぜだろう。  僕だって、恋なんかしたことないのに。 「歯を磨いて、もう一度寝るよ」 「大丈夫か?」  露希はベッドから起き出そうとしたが、よろけてしまった。

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