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第七章・4

「露希! ハンドルはもっとゆっくり回すんだ! アクセル、ふかしすぎ! 急ブレーキ、かけるな!」 「もう~、誠さんは助手席なんだから、少し黙っててよ!」  あっちこっちへぶつかったり、コースを大きく外れたり。  猛スピードでバックしたりと、露希の運転するカートは、ジェットコースターとさほど変わらなかった。 「私はまだ、死にたくない!」 「大げさだなぁ、誠さんは~」  ようやくコースを一周した後には、にこにこと上機嫌な露希とぐったりと疲弊した誠が残された。 「次は、何がいいかなぁ。フリーフォール、乗りたいなぁ!」  露希が指さす方向には、天を突くようなタワーが立っている。  そしてやはり、人々の絶叫が響いているのだ! 「露希。そろそろお茶にしないか?」 「でも、食べた後にフリーフォールに乗ると、吐くかも」 「ふむ、そうだな」 (そんな恐ろしい絶叫マシンなのか!?)  立て続けに恐怖を味わうと、さすがの私でも死んでしまう、と誠は無理に露希をお茶に誘った。

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