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第七章・6

「外山さんの言う通りに、刺青は入れてないけど。そのうち、何かの節目に入れることになるかもな」 「僕は、何だか嫌だな。誠さんがタトゥーを入れるの」  そうすると、僕の手の届かない遠くへ行ってしまうような気がする。  優しい誠さんが、怖くなってしまうような気がする。 「露希が嫌なら、一緒にいる間は入れないよ。」 「本当? ありがとう!」  安心したようにパフェをぱくつく露希を見ながら、誠の胸はきりきりと痛んだ。 (あと20日切ってるんだよ。君と一緒にこうしていられる日々は)  月末には、上納金を収めなければならない。  その時に、露希は外山の手を経て組長のものになる。 (親父さん、喜ぶだろうか)  喜ぶだろうな、と誠は額を押さえた。  露希は、可愛い。  見た目だけでなく、その内面も素直で綺麗だ。  その上、抜群のセックステクニックと極上の名器の持ち主だ。  組長が、喜ばないはずがない。 「誠さん、どうしたの?」 「あ、いや。何でもない」  露希に付き合って頼んだパフェは、半ば溶けてしまっていた。

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