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第七章・10
ゴンドラが下降を始め、誠は露希から引き抜いた。
衣服を整え、くったりと自分にもたれかかっている露希のジーンズも上げてやった。
「はぁ、はぁ、あぁ……」
「しばらく、静かにしていよう」
何事も無かったかのように、誠は露希の肩を抱いた。
こうしていると、二人きりの時間をただ楽しんでいる恋人同士だ。
「誠さんの、バカぁ」
「スリル、あったか? ジェットコースターと、どっちがいい?」
「……観覧車」
「最高の賛辞だ」
誠はもう一度、露希に口づけた。
触れるだけの、かすかで静かなキスだった。
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