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第八章・2
(こうすれば、誠さんは悦ぶんだよね)
だがそれは、組長のためのテクでもある。
露希は、自分の置かれている立場を忘れてはいなかった。
遊園地へ、行った。
動物園にも、行った。
映画を観て、プラネタリウムを訪れ、乗馬も体験した。
楽しい時間の中、ふと忘れてしまうこともあった。
自分は、ヤクザの組長へのギフトだということを。
楽しい時間の中、錯覚することがあった。
僕は、誠さんの恋人なんだ、と。
しかし、二人が最も愛し合う時間に、現実は重く圧し掛かる。
ベッドに上がれば、嫌でも外山の、組長のことが思い出される。
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