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第八章・6

 毛穴の一つ一つからでも入り込んでくるような、微細な媚薬。  誠の元で健康を取り戻した露希は、フェロモンを出せるまでに回復していたのだ。 「露希、今夜はここまでだ」 「え? ヤだ。もっとしたい!」  こんなにエッチぃ誠さん、初めてなのに!  誠は露希を抱きしめたい気持ちを必死で抑え、話した。 「君は今、Ωのフェロモンを発しているんだ。私が少しおかしいのは、そのせいだ」 「嘘……」 「明日病院へ行って、発情抑制剤を処方してもらおう。いいね」 「うん。でも今は、抱いて欲しい。僕、誠さんに抱かれたいんだ」 「わがままを、……言わないでくれ!」  危険だ、と誠は判断していた。  今の露希を抱けば、きっと私は。 (きっと私は、今以上に彼のことを愛してしまう!)

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