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第八章・7

 誠は、露希に惹かれていた。  日を追うごとに、どんどん惹かれていっていた。  庇護する立場からの、錯覚だと思っていたが。  思い込もうとしていたが。  共に過ごした20日間、いくつもの思い出を作ったのは露希だけではなかった。  誠もまた、露希から多くの思い出を得ていたのだ。  植物園へ、行った。  ドライブにも、行った。  花火を観て、農場を訪れ、絵付けも体験した。  楽しそうな笑顔、ふと見せる拗ねた横顔。  幼い仕草かと思えば、大人顔負けの色気を醸す。  ずっと、露希を見ていたい。  ずっと、傍に居たい。 (これが、恋というものか)  誠は、露希に恋をしてしまっていた。

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