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第十章・5

「誠さん」 「すまない。眠たかったか?」  ううん、と露希は首を横に振った。 「今夜は、徹夜したいくらい」 「私は、もう降参だ。露希ほど若くないからな」  やだなぁ、と露希は誠に肌を擦り付けた。 「エッチしなくても、こうしてるだけで僕は嬉しいんだから」 「そうか」 「そうだよ」  誠は、そんな露希を抱き返した。  この愛する小さな鳥は、明日私の手から奪われ籠に入れられてしまうんだな。  抗えない、現実。  頭の切れる誠は、露希を手放さなくてもいい方法をいろいろと思案していた。  だが、どれも不可能だ。  中嶋組の手からは、逃れられない。

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