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第6章 早朝ドライブ

「…祐樹、起きて? 祐樹?」  軽く肩を揺すられて、祐樹はうっすら目を開けた。  孝弘がベッドに乗り上げて祐樹を覗きこんでいる。遮光カーテンが半分だけ開けられているが、外はまだ夜明け前の薄暗さだった。 「ごめんな、こんな早くに。ちょっとつきあってほしいとこがあるんだけど、起きられる?」 「んー、どこ?」 「ひとまず、地下の駐車場」 「ん?」  ぼんやりと孝弘の顔を見返すと、なにか企んでいるやわらかな笑顔。  見るともう外出できる服を着ている。 「シャワー浴びる時間ある?」 「あるよ、大丈夫。食事はなしで。なにも持たなくていいよ、チェックアウトはしないから」 「わかった」  ゆうべは風呂を出てから、広いベッドで思う存分睦みあった。  孝弘は甘やかすように手と口で祐樹をすみずみまで探ってきて、気持ちよくて体が溶けだしそうだった。孝弘も祐樹からの愛撫を楽しんで、やさしい交歓のあと、そのままいつの間にか眠ってしまったようだ。  バーで飲んだのがまだ8時前だったのだから、たぶんかなり早い時間に寝ついたのだろう。時計を見るとまだ朝の4時過ぎだったが、頭はすっきりしていた。  手早くシャワーを浴びて、孝弘が買ってくれたオレンジと茶色のシャツを羽織る。  麻と綿のさらっとした感触が気持ちよかった。  ソファに座ってじっと祐樹の支度を見ていた孝弘が、満足気にうなずいた。 「やっぱ似合うな、その色。いつもよりかわいいような? オレンジだから元気な感じで、かわいいけど大人っぽい」 「おれ…、もうけっこう大人なんだけど」  照れ隠しに肩をすくめた。  くすぐったく思いながら頬が緩むのをおさえられない。  彼氏の選んだシャツでときめく、とか。この年になってそんなことを思う自分に苦笑しながら、そういえば孝弘の誕生日も知らないと思い至る。  冬生まれって聞いたことがあった気がするが、そのころにはもう北京にいないなと思ってそのままになってしまった。いつなんだろう、訊いておかなきゃ。  そんなことを思いながらエレベーターで地下駐車場に降りると、孝弘が車を回してきた。わナンバーのセダンだ。  レンタカーでこんな早朝からどこかへ出かけるらしい。  一体どこへ? ていうか元気だな、ゆうべあれだけセックスして早朝ドライブ。もちろんすべて、計画通りなんだろうけれども。  きっと祐樹のためにあれこれ計画してくれたのだ。

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