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ついていた紐が細くてすぐに切れそうだと、孝弘は横の売り場でべつのチェーンと金具の輪を買って、会計のあとその場ですぐに作り変えてもらった。
さすが、そういう段取りは手早い。
「中国製ってちゃちいから、こういうのはすぐ付け替えたほうが安心だろ。はいできたって」
渡されたキーホルダーを見て、どうしようもなく頬がゆるむ。
孝弘が大きくため息をついた。
「祐樹、キーホルダーひとつでそんな顔、反則だから」
「え?」
「かわいすぎる。マジでいますぐ部屋に連れこみたい」
「…孝弘はフィルターかかりすぎ。ほら、お腹空いたし、ご飯食べよう」
「はいはい。また来ような」
「え? あ、香港?」
「どこでも。また一緒に旅行しよう」
「うん。おれもまた行きたい」
恋人との旅行がこんなに楽しいものだったなんて、すごい発見だった。
きっとどこに行っても楽しくて時間があっという間に過ぎたんだろう。
こんな時間をまた持ちたいと思う。
何度も、何度でも、この先の未来に。
男同士の関係に未来を期待する時が来るなんて、祐樹は考えたことはなかったのに。
こんなふうにじぶんが変わっていくとはまったく予想もしないことだった。
雑踏を歩きながら祐樹は荷物を一緒に持つふりで、そっと孝弘の手を握った。
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