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「仕方ないよ。見送りは玄関でいいから、きょうは気がすむまで祐樹を抱きたい」 「…うん、おれも」  孝弘の言葉に頬が熱くなった。いまさらと思うのに孝弘に求められると、すぐに体は熱を帯びて、くにゃりと溶け出してしまいそうだ。 「一緒にシャワーしよう」  手際よく服を脱がされ風呂に連れていかれた。  いたずらな手がボディソープをまとわせてあちこち触れてくるが、祐樹は一度もとめなかった。というより、祐樹からもこれから1カ月会えないぶんを補給するように思う存分、孝弘の体中に触れていた。  素肌の温かさにほっこりした気分で気持ちよく洗いあって、お互いに熱がたまってきたところで出ようと誘われた。 「キッチンの電気、つけたままでいい?」 「いいよ」  リビング兼寝室にスタンド類は置いていない。常夜灯では暗すぎると孝弘はキッチンの電気をつけたままにするのだ。 「しっかり見ときたい」 「言葉で言われたら恥ずかしいんだけど」  照れる祐樹をうんうんと受け流して、布団のうえで抱き合ったまま孝弘がやさしく口づける。何度も触れあいながらそっと舌先が絡まって、互いの興奮を煽るようなキスになる。  吐息も溶けあったころ、そっと布団に倒された。 「大好き、孝弘」 「うん、俺も。ちっさくならないかな、祐樹。ポケットにいれて持っていきたい」  孝弘がずいぶんメルヘンなことを言ったので、それもかわいくて頬をすり寄せた。 「いいね、そしたらずっと一緒なのにな」  祐樹の体をたどっていた手がよわい脇腹に触れてきて息が乱れた。感じるところを把握している指先があちこちで感覚を鋭くさせていく。  脇腹から背中に、背骨をたどって肩甲骨をなでてから胸にまわった指先が、その先端にやさしく触れる。押しつぶすように捏ねられて、ぴくっと腰が跳ねた。  お互い横抱きで足を絡ませるように密着して、ちいさくキスを続けながら触りあっているから昂ぶり具合は伝わっている。 「あ、あっ…や」  キスの合間に声がこぼれた。  乳首をやわらかく吸われて喉をそらして息をつくと、ぬめりをまとった指が背骨をたどって降りてくる。  そっと指を挿しこまれて、その指がくれる快楽を覚えている体が期待して、ぞくぞくと背筋を電流が走り抜けた。確認するように埋めこまれた指がためらいなく動いて、なかのいいところをさぐる。

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