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第4話

 それから俺たちは晴れて恋人同士となったのだが、慶吾がLINEアプリを入れる気配はなく、未だにショートメールでやり取りをしていた。  でもいいんだ。多少不便でも、慶吾と連絡が取れさえすれば。  ……とは思ったものの、やっぱり理解しあえないところもある。  慶吾の家には無駄な物がない。  たまに遊びに行くけど、カーテンが取り付けられないままなのでおちおちセックスなんて出来ない。 「誰も見ていないよ」と慶吾は言うけど、俺はやっぱり落ち着かない。  だから俺の家でしようと誘うも、『実は今まで我慢して行ってたけど、本当は行きたくなかった』などとカミングアウトされてしまい、もう来なくなってしまった。 「あー、きったないなぁこの部屋ぁ! 誰がこんなに散らかしたんだよっ。俺かっ!」  ゴミ袋を片手にぶつぶつ言いながら不用品をぽいぽい詰めていくけど、五分ほどでもう飽きてしまい、ベッドの上に転がった。  慶吾がまたこの部屋に来てくれるようになるまで、俺は毎日何時間掃除しなくちゃならないんだっ。  ここまで汚くしてしまった自分に責任があるが、慶吾のせいにしたくなってしまう。  俺は気分を変えるためにテレビを付け、適当なチャンネルに合わせた。  ちょうどインテリアショップの特集がやっていた。女子に人気の可愛らしいアロマオイルや加湿器、花柄の食器類などが映し出されていって、そこの店員らしき女性がインタビューを受けていた。 『こちらの商品はプレゼントなどで選ばれる方が多いですね……』  笑顔でそう言う店員を見てピンときた俺は、スマホで文字を打って慶吾に送信をした。 『慶吾の誕生日って、いつ?』  返信が来たのはそれから一時間後だった。 『来週だよ』  ちょうどいい、と俺はニヤッとし、散らかり放題の部屋を出て電車に飛び乗った。  店でお目当ての物を見つけ、レジでプレゼント用に包んでもらう。  ルンルンで店から出て帰ろうとした最中に、俺の横を通りすぎたカップルがお揃いのキャスケットを被っていることに気がついて、魅入ってしまった。  これだけだと、なんか寂しいかな……  今買ったばかりの袋を見て考え込み、俺はもう一度ファッションビルの方へ足を向けた。

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