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第3話

3 淫らな午後 「はあ、あっ」 俺は自分の机に突っ伏して、必死にしがみついた。手の中で日報用紙がクシャと潰れたが、気にしていられない。 それよりも問題なのは、何故俺はこうして白木に犯れているんだ? しかも抵抗もせず。 ヨガリ声なぞあげているんだ。 俺と白木は一ヶ月ほど前から、所謂カキッコをする中になった。 俺が望んだわけではない、が、望んでなくもないかも知れない。 正直よくわからん。 最初は不意打ちで。その翌日からはほぼ毎日だ。 いつものように放課後やってきては、診察用の椅子に座り俺の机を覗き込む。 以前と違うのはしばらくすると、白木の手が伸びてきて俺の下半身をさわる。一度は跳ね除けるが、なかなか諦めない白木の手がズボンの中に入ってくる。 俺の手が白木の下肢に持っていかれることもあるが、ない時、俺だけイカされる時もある。 慣れとは怖いものだ。 ましてや快感はクセになる。 抵抗がなくなってしまう。 今日もいつものように伸びてきた手に、快感を与えられ、口付けを深くかわし、まあ、酔いしれていたわけだが、ふいに白木の手が後ろに触れてきた。 困ったことにこれもここ二週間ほど繰り返されていた。 初めこそ抵抗や痛みから嫌がったものだが、今は最終的にいったい何本の指が入ってきてるのかわからないぐらいにはなった。 一本ずつ俺の様子を見ながら差し込まれ、中をゆっくり擦り付ける。 「ふあ、あ」 合わせた唇の隙間から変な甘ったるい声が漏れてしまったが、これもいつものこと。聞かれるのが恥ずかしければ白木の唇で塞げばいいのだ。 俺は白木の頭を引き寄せて、さらに深く口付ける。 口付けに夢中になって、後ろをかき回してる指が何本かもわからない、でも背筋を登ってくる快感がたまらない。 イきそうだ。 そう思った時、ふいに腰を白木白木に掴まれて持ち上げられた。 「はぁ、な、んだ」 俺の問いかけに白木は答えない。 ただ繰り返される、前後への愛撫。 自分自身がしている格好に気付いてはいたんだが。 腰を白木に突き出し、白衣はめくられ、ズボンは膝あたりまで降ろされ、剥き出しの尻。 でも考えられるほど、余裕はなかった。 慣れは怖い。 この一言だ。 もうイカされることしか考えてなかった。 指が引き抜かれ、別のものが入ってくるまでは。 「うあ、ぁっ」 突然の質量感。圧迫感。…そして熱。 思わず振り向くと、快感に眉を寄せる白木の顔があった。 この顔は知ってる。 快楽に入りたての顔だ。 そしてようやく、この質感が白木自身であると気づいた。 まずい。 そう即座に思って腰を引いたが、逆に引き寄せられ強くねじ込んでくる 「う、ぐっぁ」 入り口も直腸の襞も、押し広げられたような圧迫感。 さらに白木が抽送を始めると、痛くはないが苦しい。 「寺崎先生っ」 その声、余裕をなくしてきてる、な。 「う、ぐっ、っあ」 白木の声につられるように、内壁を擦るような摩擦にじん、と痺れが走った。 この感覚は、嫌というほど白木に教えられた。 やばい、感覚だ。 「ん、んんっ」 白木の動きに合わせて、声が出そうだ。変に跳ね上がる、俺とは思えない声。 押し殺しても、徐々にせり上がってくる快感が口から漏れてきそうになる。 腹の奥、というか恥骨の下あたりに痺れというか、そんな感覚が燻るところがあって、出入りする白木が掠っていくと、電気が走るようにびりっとくる。離れてしまうと、また燻って。それが繰り返し、繰り返し…。 「…寺崎先生、…寺崎先生っ」 うなされるように繰り返し呼ぶ白木の声も、俺を追い立ててくる。 「だ、だめだ、しらき、あ、ああ」 白木がさらに強く、腰を動かし始めた。 白木自身、限界が近いのだろう。腹の中の白木が熱く、質量を増す。 「あ、あっあ、く、あ、しらきっ」 「て、らさ、きせんせ、もう僕」 白木がイきそうなのがわかる。 「だ、めだ、そとに、あああ、んくあああ」 中には出すな、そう言いたいのに最後とばかりに最奥を抉るように擦られ、俺が先にイッってしまった。 「あ、あ…」 「寺崎先生」 余韻に浸る間もなく、腹の奥の方で熱い飛沫が内壁に当たる。 「うあっ、あ、あ」 断続的な射精を繰り返し、白木が俺の背中に頭を落とした。 「っあ、は、はあ」 中に射精される独特の感覚に慣れずに俺はちょっと身を捩った。 「ん、くぅ」 ん? 振り向くと白木がまたあの顔を…。 同時にまだ中にいた白木が内膜を熱く押し広げ始めた。 どくん、と脈打ってる。 「お、おい」 せめて抜いてからに…。 「す、すいません、寺崎先生。先生の中がすごくて、その」 白木が言い訳を始めたが、正直俺は聴いちゃいなかった。 白木が熱を持ち始めた途端、先ほど白木が射精した場所からむず痒さというか、痺れというか、形容しがたい感覚が…。 白木、ちょっと…。 「動け」 「え」 俺の尻をちゃっかり揉みながらまだ何か言い訳していた白木だったが、俺の言葉に嬉しそうな声を出した。 「いいんですか」 そんなやりとりの間にもむず痒さが、じんじんと広がってくる。 「いいから」 動け。 動いてくれ。 「寺崎先生っ」 白木が抽送を始めると、困ったことに酷くなる一方だった。 「ああ、あ、ん、ん」 白木がいるのはまだ真ん中よりちょっと奥辺りか。 さっきも最初の方で擦られた。 もっと、奥、なんだが。 「はあ、あ」 さっき白木が射精した辺りの内壁が、むず痒くて、そこを、その、擦って欲しいん、だが、言えるわけない。 「ん、んぁ、ん」 微妙に外された感じが、余計に煽る。 もっと、奥なら。 なんならまた、中出ししてもいいから。 「はぁ、ん、ん」 そこも悪くは、ないん、だが。 強く擦られると、堪らないんだが。 だが、その…。 「もっと、奥…」 思わず口に出してしまって、慌てて口を押さえたが遅い。 白木の嬉しそうな声が聞こえてきた。 「奥、ですか」 そう言うと、一気に奥まで押し入ってきた。 「ひあああっ」 そうだ、そこだ。 「あ、あひ、い」 いい。 もっとつよくてもいい。 「あああ、あんぁ、ああ」 俺は机にしがみついて思わず、白木に腰を押し付けてしまった。 べ、別に白木を喜ばせたいわけじゃ、ないんだが、結果、喜ばせてしまう。 「ここ、ですか。寺崎先生」 嬉しそうな声の白木に、ぐりっと先端を押し付けられた。 「あああ」 そう、だ。 「ぁあ、い、んぅ、あ」 俺は仕方なく小さく何度も頷く。 快感に支配され、まともな思考が出来ない。 頭の中にあるのは、ただ、ただ、イクこと。 俺の返事を聞くと白木はその部分めがけて、つき始めた。 「ああああああ、ああああ、あ」 痒い所に手が届いた感じだ。 もっと、もっと。 「ああああ、い、ぃんああああ」 堪らない。 だめだ、もう。 「い、くっ、ん、あああ」 「寺崎先生、てら、さきせんせい」 白木が何度も呼ぶ。 はあ、こんな時まで先生とは、呼ばれたくない、な。 ふとそんな考えが過ったせいで、一歩遅れた。 白木が、俺が強請った場所に射精してきた。 「あああああ」 熱い飛沫を、堪らない場所に受けて、俺も射精した。 一気に吐き出した後もとろとろと溢れでるような、こんな射精は初めてだ。 余韻も半端ない。 「んあぅ」 人がまだ心地よい余韻に浸ってるというのに、白木はさっさと抜けていった。 ちっ。 いや、たぶんさっき抜かずに始めてしまったことを、白木なりに後悔したんだろう。 だが、もう少し浸らせてくれても良かったんじゃないか。 うらみがましく、白木を振り返る。 白木は自分の後始末を済ませていた。 ちっ、切り替えの早いやつだ。 俺はと言うと、まだ息も整わない。 力も入らない。 「先生、…拭いていい…?」 ん?拭く? ああ、そうか、このままはまずいな。 だが、今触られるのは非常に、まずい気がする。 「自分でやる。…後ろを向け…」 見るな。 白木はちょっと苦笑して、俺にティッシュの箱を渡すと、ちょっと離れてたところで後ろを向いた。 俺はなんとか机から体を起こして、寄りかかりながら体を拭く。 拭きながら、思う。 なんとも動物的な交尾だ。 服も着たまま、下半身だけ剥き出しで。 思わずくっと笑いが込み上げた。 俺がベルトをはめ直す音を聞きつけて、白木がそっと近づいてきた。 じっと俯いて、喋らない。 「どうした」 「……怒ってます?…」 なんだ、気にしてたのか。 あれだけがっついておいて、すっきりしたら急に後悔したわけだな。 こういう可愛いところがあるから…。 あ、いやいや、そうじゃなくて。 「怒ってない」 そっと伺うように上目遣いで見てくる。 思わずふっと笑ってしまった。 「事実だ。それに後半は合意の上だった」 「…まあ、そうなんですけど…」 白木はまた俯いた。 それより。 「手を貸せ。…ベッドに行く」 立ってられない。 腕で支えるにも限界がきた。 今にもへたり込みそうだ。 慌てたように白木の腕が腰を支え、ベッドへと連れて行かれた。 白木の手を借りて、ベッドに座るとそのまま横に倒れた。 「はあ」 思わず溜息が出る。 少し楽になった。 やはり身体機能以上のことを強行すると、負担が来るな。 しばらく横になって回復してから帰ろう。 白木はベッド脇にしゃがみ込んで、俺の様子を伺っている。 眉根は寄せられたまま、若干口元が左右に引き締められている。 「案ずるな、少し休めば治る」 「…すいませんでした、僕、止まらなくて…」 その若さで、簡単に理性で制御されても、な。 年上の俺が出来なかったのに。 「…もう言うな。だが、もうしない」 「ええ⁈」 白木がショックと驚きで目を見開いた。 「…ずっとじゃない…」 「どういう、ことですか」 「…成人まで、とは言わん。せめて、卒業まで、待て」 白木が口を尖らす。 「…まだ何ヶ月もあるんですけど…」 「…成人より近いだろう」 「………」 「約束だ、承知しろ」 「………」 白木は口を尖らせたまま、俺を見つめてくる。 本当、頑固だな、お前は。 納得いかないことには、決して頷かない。 俺は足もベッドに上げて、仰向けになる。 「…我慢するのは、お前だけじゃないんだ、ぞ」 少し白木の表情が緩む。 「俺も、お前の卒業までが限界だ」 「なら!別に待たなくても」 「俺はこれでも教師だ。生徒とどうこうなど、これ以上許されん。それとも何か?お前は俺を淫行罪で捕まらせたいのか」 「…嫌です…」 「なら、約束だ」 「…全然、出来ないってことですか…」 「抜いてはやる。手でも、口でも、な」 「え」 ちょっと嬉しそうな声を出したな、単純な奴め。 「だが、俺には触るな」 「えー」 「えー、じゃない」 「だって、それ僕だけってことでしょ?最後までしなければ、今まで通り」 「だめだ、俺が止まらなくなる」 「え」 また嬉しそうな声を出したな。 だが、事実だからな。 今日はっきりした。 俺は白木に触れられるとまずい。 「俺が止まらなくなったら、誰が止めるんだ。お前は無理だろう」 「…無理です…」 「なら、仕方ないな」 ぷうっと頬を膨らませて、ベッドに乗せた両腕に顎を乗せた。 さっきまで、男の顔をしていたくせに、今度は子供の顔か。 「…キスもダメですか…」 俺がだめだ、と言うと思ってるて口調だな。 「許可する」 ぱあっと顔を明るくした白木に手招きをする。 近づいてきた白木の顔に手を添え、念を押す。 「…軽くだぞ…」 「はい」 そして軽く合わせるだけのキスをした。 「約束が守れたら、ご褒美にお前が欲しがってた返事をやろう」 「え」 「なんだ、今更、いらんか」 「いえ、いります!絶対ですよ?約束ですからね‼︎」 「承知した」

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