「んっ……っはぁ……っ」 　春海の顔中にキスを落としていきながら、少し開いた口唇に舌をねじ込んで春海の舌を絡め取る。 　リップ音と二人の息遣いだけが静かな室内に響いて、夢現(ゆめうつつ)な春海の瞳がより村雨の情欲を煽りたてた。 　そろそろ止めないと、と思うのに、春海の顔が蕩けていくのを見ていたら無意識に服の中に手を滑り込ませていた。 　 　春海の肌の手触りの良さに、思わず無遠慮に撫でまわしてしまう。 　何だこの肌、気持ちいい…… 　村雨が手を動かす度に、春海の呼吸が荒くなる。 　手が下におりていくと春海が小さく腰をよじった。 　 　あ、ちゃんと反応してる。そっか……じゃあ…… 　村雨は口唇をペロリと舐めると、本格的に春海の口唇を塞いだ。 　口唇を密着させたまま、舌で春海の口腔内を蹂躙する。 　 「んむっ！？……はっ……ん」 　春海がキスに不慣れなので、酸欠になる前に口唇を離して休憩を入れる。 　息継ぎに慣れてきた頃にそっと舌先で性感帯を刺激してやると、敏感な春海は驚いたように瞳を大きく開いて身体を小さく震わせた。 　あ～可愛いっ！ 　春海の反応の良さに危うく興奮が抑えきれなくなりそうだったが、ギリギリのところで奥歯を噛みしめて自制した。 　 　ん゛～……このまま抱きたい……けど、春海さん寝惚けてるしなぁ……これくらいで止めておく……かっ！？ 「や……もっと……！」 　なけなしの理性で離れようした村雨の首に、春海が腕を回してきた。 　熱っぽく潤んだ瞳で村雨に懇願してくる。 　え～……好きな子にこんな顔されて無視できるやつなんている？いや、いない！！いるはずがない！！ 「春海さん、もっと、なに？どうしてほしい？」 「……って……」 「ん？」 「もっと……触って……」 　キスじゃなくてそっち？ 　いやいいけど、触ってたら冗談抜きで止まんなくなりそうなんだよな…… 　 　想像以上に気持ちの良い肌質に、あのまま触れているとさすがに理性が飛びそうだったので、なるべく身体に触れずにキスだけにしていたのだが…… 　ん？ 　ふと、村雨の太ももに硬いモノが当たった。 「ぁっ……！？」 　 　村雨がその昂ぶりを太ももで軽く擦ると、春海が小さな悲鳴をあげて少し腰を引いた。 　さっきは少し反応していただけだった春海のソコは、今ははち切れんばかりに屹立していた。 　 　まだ軽く刺激しただけなんだけど……あれでこんなになっちゃうか～…… 　っていうか、触ってって、もしかしてコレのこと？ 「村雨さん……」 　春海が自分の反応に戸惑っている顔で、村雨に助けを求めた。 「ん、わかった。じゃあ、ちょっと触るよ？」 「ひぅっ……！」 「大丈夫、痛くしないから。手伝ってあげるから出しちゃおうか、ね？」 　村雨の手が触れると、春海の身体がピクリと跳ねて村雨の服をぎゅっと握りしめてきた。 　不安そうな顔をする春海をキスと言葉であやしながら、硬くなった春海のモノを優しく扱く。 「ふ……ぁっ……んん！」 　徐々に身体の緊張が解けて、春海の頬が上気してくる。 「気持ちいい？」 「ん……や、なんか変っ……」 「イきそう？」 「わ……かんな……んんっ……」 　春海さんってもしかしてあんまり自分で弄らないのか？ 　村雨の手の中のモノはもうトロトロに濡れてきていた。 　この感じだと…… 「春海さん、キスしたい。こっち向いて」 「ぇ……あっ……ん！」 　村雨にしがみついて首元に顔を埋めていた春海が、顔をあげた。 　その口唇を奪って、キスに集中させておきながら少し強めに扱いた。 「んむっ！？……ん……んんーっ！！～～～～～っっ！！！」 　昂る快感から逃れようとする春海を押さえこんで、手の中の先端をグリグリと弄ってやるとあっという間に果ててしまった。 「はぁ……はぁ……」 「大丈夫？」 　耳元を愛撫しながら尋ねると、肩で息をしていた春海からふっと全身の力が抜けて、村雨に抱きついていた腕がパサリとベッドに落ちた。 「ん……っ」 「あれ？春海さん？……寝ちゃった？」 　春海は村雨の手の中に熱を吐き出すとそのまま気絶するように眠ってしまった。 　え～と……うん、よし、今のうちに！！ 　村雨は、自分でも驚くほどの手際の良さで、春海の身体を綺麗に拭き、服を着せ、布団を被せた。 　よし、証拠隠滅、これで完璧！！……じゃない！！証拠隠滅ってなんだよっ！！いや、まぁ……そうなんだけど……！！ 　ベッドの端に腰かけると、気持ち良さそうに眠る春海の髪をそっと梳いた。 　 　あ～……危なかったぁ～……春海さんが眠らなかったらそのまま続きをしてしまうところだった…… 　もぅ、なんなのこの子ったら！！ 　可愛いし、エロいし、煽ってくるし……そのくせ全部無自覚！！！無・自・覚っっっ！！！ 　村雨は、長い息を吐きながら頭を抱えた。 　まぁでも……良かった。 　春海は刺激に対しては過ぎる程に敏感だと思う。 　ただ、性欲があまり強くないと言っていたので、村雨が触れた時に性的に気持ちいいと思ってくれているのかはわからなくてちょっと不安だったのだ。 　気持ち良くなれなかったら、セックスなんて苦痛でしかないだろうしな…… 　仮にそうだとしたら、無理やり抱くわけにはいかないので春海とのセックスは諦めるしかなくなる。 　 　でも、そっか、春海さんもちゃんと反応するんだな～。 　そりゃまぁ童貞じゃないってことは女の子を抱いたわけだし…… 　……え、春海さんが女の子抱いたの？こんなキスだけで真っ赤になるくらい初心なのに！？ 　軽くディープキスしただけで完勃ちしちゃうくらい敏感なのに！？ 　……冗談だろ！？ 「……ん？」 　その時、微かに階下で物音がした気がして村雨は眉を顰(ひそ)めた―― ＊＊＊