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♥04.アンリとジーク(2)
* * *
意識はないのに――ないはずなのに、吐息は乱れ、身体はますます熱を帯びていく。試すように口付けただけで、たちまち増していく色香に感心すら覚えながら、アンリはそんなジークの素肌に手を這わせた。
簡素な衣服の合わせから差し入れた指が、その下に隠された胸の突起を探り当てる。戯れのように先端を撫でると、ジークの睫毛がぴくりと震え、悩ましげに眉が歪んだ。
アンリはジークの胸元をはだけさせ、微かに震える小さな色づきをあらわにさせた。すでに固く張り詰めていたそれは、いっそう触れて欲しそうに淡く充血し、つんと天を向いていた。
「っ、ん……っ」
アンリの指がふたたび突起をとらえる。軽く転がし、少しだけ強く引っ張ると、待ちかねたように身体が震え、濡れた吐息が鼻に抜けた。
アンリは心持ち口端を引き上げ、改めてキスをする。塞ぐように唇を合わせ、隙間から滑り込ませた舌先で口内をかき回すようにするかたわら、確かめるように膝上でジークの下腹部を押し上げた。
「っ! んぅっ……!」
くぐもった嬌声に合わせて、びくりとジークの腰が跳ねる。すでに痛いくらいに昂ぶっているそれが、服の中でいまにも弾けそうに脈打った。止めどなく溢れる雫が、じわりと布地に染みを広げる。
「ん……っぅ、んん……っ」
上顎を擦るアンリの舌に、ジークのそれが絡みつく。力無く投げ出されていたはずの腕が、縋るようにアンリの首に回された。
自ら強く身体を密着させて、擦り付けるように揺れる腰。かと思うと、引き攣ったように全身が強張り――ややしてふっと弛緩した。
自然と緩んだ腕が、ややしてカウチの上へと落ちる。
「……」
何が起こったのかは確認するまでもない。アンリは緩慢に身を起こし、僅かに目を細めた。
見下ろした先で、ジークは生理的な涙に目元を濡らしていた。
「ふ……どうせこんな程度では気休めにもならんだろう」
ようやくの安らぎを得たかのように、ジークの寝顔は穏やかなものになっていた。
しかし、それもほんの束の間で、
「……やはりな」
アンリの呟きが終わるが早いか、ジークの額には新たな汗が浮かび、呼吸もまた浅く忙しないものに戻ってしまう。
「――まぁいい。時間はある」
アンリはどこか他人事のように独りごち、べっとりと濡れたジークの衣服に手をかけた。
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