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♥05.昨日の記憶(3)

「ひぁっ! あぁ……っあ、もうっ……いっ――!」  ジークはたちまちあられもない声を上げ、何度めか分からない吐精で腹部を濡らした。それを待っていたかのように最深部まで一息に貫けば、押し出されるみたいに残滓がこぼれて糸を引く。達したばかりで過敏になっている身体が、引き攣ったようにびくびくと震えた。  ――けれども、それでもまるで足りないとばかりに、ジークの身体からは熱が引かない。どころか、より火照るみたいに赤みを帯びて、屹立もゆるりと天を向く。  ジークの腕が、しがみつくみたいにアンリの首に回される。艶かしく揺れる腰が、いっそう強請るようにあわいを擦り付けてくる。  かと思うと、蠢く粘膜が引き絞るみたいにアンリのそれへと絡みつき――。 「あっ……ぁ、や……まだっ……」 「っ……私に指図をするな」 「ぁあっ、ぁ、いぃっ……ん……!」  アンリは小さく息を詰め、ひときわ強く接合部を密着させた。そのまま身体ごと揺さぶるように腰を押しつけ、何度も最奥を突き上げる。  刹那、ジークの体内で大きく脈打ったそれが、どくんと更に嵩を増して、 「あぁっ、い……っぁ、ひぁあっ――!!」 「――っ」  次には身の内を焦がすかのような熱が叩きつけられた。 「は……ぁ……」  何を言うでもなく、喘ぐように開閉だけを繰り返す唇の隙間から、嚥下しきれない唾液が伝い落ちる。  目元は多量の涙に縁取られ、額に張り付く髪の毛も、雨にでも降られたかのようにびしょ濡れになっていた。 「……」  いつのまにか、ジークは眠るように目を閉じていた。  力なくひっかけられていた腕を|解《ほど》くと、アンリは密やかに息を吐く。  ――と言う一部始終を、ジークは一切覚えていなかった。   そしてそれこそが、サシャが託した治療の一環だということも――もちろん知る由もない。

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