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♥【閑話】あてられたのは(裏)ラファ×ギル(3)

(ぜ、絶対おかしい……)  手繰り寄せた理性が、頭の片隅で呆然とする。  だってさすがにこんな……こんな触られただけでイくなんて、これじゃさっきの黒髪みたいじゃないか! 「今日はやけに早いですね……そんなにさっきの子が美味しかったんですか?」  ラファエルが濡れた指に舌を這わせながら、僅かに目を細める。  顔にはいつも通りの微笑みが貼り付いているのに、その声音はどこか不機嫌そうな色を孕んでいるようにも聞こえた。 「べ、別にお前には、関係……」 「関係なくはないですよ」 「あ、も、さわ、んな……っ」  ラファエルのその手が、まっすぐ俺の下腹部へと伸びる。  爆ぜたばかりだと言うのに、俺の熱は既に兆しかけている。吐精してからは触れられてもいないのに、不規則にぴくんと震えながら、勝手に硬度を増していく。  けれども、ラファエルはそれには目もくれず、鼠径部から会陰へと焦らすように指を這わせ、更に奥へと谷間を辿っていった。 「っ、や、やめっ……!」  俺の言葉を無視して、触れて欲しいところには触れてはくれず、触れられたくないところには触れようとするラファエルの長い指。  頭上に置かれている俺の手はもう自由になっているのに、嘘みたいに力が入らない。  こんな状態、絶対おかしい。自分が自分でないみたいな錯覚がする。  ラファエルの指が探り当てた窪みをつつく。ゆるゆると表面を撫でられ、擦られ、不意打ちのように躙られる。 「ぃっ――ちょ、やめろ、ばっ……、ああっ!」  ぐち、と音を立てて差し込まれた指が、ほどなくして二本に増やされる。  反射的に痛みを覚悟して目を閉じたけれど、不思議とそこから伝わってくるものに苦痛は感じなかった。  いつもどおりの違和感と圧迫感がなくはない。けれども、それをあっさりと上回る――。  ――愉悦の波。 「あっ、な、待っ……、これ……ひぁっ!」  内側から、挟むようにして押し上げられたそこから、びり、と甘すぎる痺れが背筋を駆け抜ける。  腰の奥へと蟠っていた熱が競り上がり、ぴゅる、と少量の飛沫(ひまつ)が腹に散った。 「今日は……なんだか分かりやすいですね」 「っ! あぁっ、な、なに、がっ……!」 「……ほんと、なんなんですか」  呟くように言ったラファエルが、僅かに視線を下向ける。その表情を隠すように、長い白金髪の髪が肩からこぼれ落ちてきた。  髪の毛に覆われる直前、ラファエルの笑みが一瞬消えた――ような気がした。 「分かってるんですか」 「だ、だから、なに……が……っ!」  返る言葉はないままに、ラファエルはずるりと指を抜く。  かと思うと、当たり前みたいに片足を抱え上げられ、充溢した先端がそこにあてがわれた。 「――あなたは私の恋人なんですよ」 「そ、れはお前が勝手に……っや、あっ――ああぁっ!」  言葉も半ばに一気に貫かれ、普段なら考えられないような高い嬌声が口をついた。と同時に、押し出されるみたいに腹部に白い雫がぱたぱたと落ちた。 (だから……俺、マジ早すぎ……)  穴があったら入りたい……。  ……挿れられるんじゃなくて。

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