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♥10.意識がある中で(7)

 *  *  * 「あ、えっ……待……!」  アンリの手が屹立の根本へと降りていく。そのまま際を辿るようにしながら更に下方へと下り、引き上がった袋を撫でる傍ら、擽るように会陰をなぞる。  張り詰めた先端からとろりとまた蜜がこぼれた。 「お前は一度この治療を受けている」 「え……?」 「そうでなければ、いまごろ狂っていただろうな」 「え……狂……?」  ジークは窺うようにアンリの服を掴む。  まるでどういうことか見当もつかずに、ただ過ぎる困惑に濡れた双眸を揺らす。 「もしくは、その辺の獣でも襲っていたか……」 「え…………。な、え……?」  俺、が……?  け、獣? に、その……挿入する、ということ……か?  アンリを見上げる瞳が大きく見開かれる。  けれども、次にはそれもすぐに眇められた。 「ぃんっ……!」  会陰をくっと押し上げられると、びくりと跳ねるように腰が浮く。  いっそう溢れ出た雫がアンリの手を濡らし、谷間(たにあい)へと伝い落ちていく。  受け入れがたいのに、反して受け入れたいみたいな自身の反応に頭がついていかない。  そこに先よりも熱を煽るような囁きが落とされる。 「もっとよく考えろ……その身体が、本当に欲しているものは何なのか」 「っ、ひぁ!」  アンリの指先が、不意打ちのように、その先にある窪みに触れた。微かな水音がして、確かめるように躙られたそこから、びり、と鮮烈な痺れが走る。  独りでに胎内(内側)がきゅんと疼いて、焦れったいような甘さが迫り上がってくる。 「待っ……待って、そこ……そんな、だめです……っ」 「……それが答えか?」 「や……めて、くださ……、待っ……!」  ジークの言葉など、何の抑止力にもならない。  ジークがどう答えようと、片手間のように埋め込まれていく指先は、蠱惑的にひくつきながらも、いまだ慎ましやかなそのつぼみを開いていくのだ。 「わ、あ、あぁっ……アンリさ……っ、アンリさん……!」  ジークは怖いように唇を戦慄かせる。縋るように名を呼びながら、アンリの服を掴んでいた手に、なけなしの力を込める。  何でそんなところを触られているのかわからない。  何でそんなところに指を挿れられているのかわからない。  そのくせ嬉しいみたいに高揚していく自分の感覚が、一番理解できなかった。

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