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♥11.求めたその先(5)

 ここまで待ってやっただけ有り難いと思え――。  独りごちるような声が、遅れてジークの耳に届く。届きはしたが、理解はできなかった。 「ぃあ……っ、――あぁあっ!」  あまりの衝撃に息が詰まり――直後、知らしめるように最奥を深く抉られ、あられもない声が迸る。 「やっ……ぁ! あっ、待……っあぁ!」  待って。止まって。嫌だ。嘘だ。ありえない。  悲鳴じみた嬌声が止まらない。こんなはしたない声を出しているのが自分だなんて信じられない。  許容しがたい事実に思考がかき乱される。やがて考えることを放棄するように、意識が明滅し始めた。  けれども、それが完全に暗転することはない。アンリがジークの腰を押さえ、《《そこ》》を執拗に擦り立てることで、強制的に覚醒を促すからだ。  隘路を割り開くように抽挿されるたび、ジークの頭がクッションの上で小さく跳ねる。堪えきれない高い声が止めどなく漏れて、こみ上げた涙にたちまち視界が滲んだ。  戦慄くジークの身体から、いっそう濃い香りが立ち上っていた。 「あ! あぁっ、やめ……待、いぁ……っ」  揺さぶられるのに合わせて、座面とクッションの端に意図せず胸の先が擦られ、戯れのように弾かれる。先刻ギルベルトに付けられた小さな傷が微かに痛む。だがそれすら今は快楽へと変換されるようだった。  同じように腹部とカウチに挟まれている屹立からも断続的に飛沫が飛び散り、気を抜くと今にも吐精してしまいそうに下腹部が引き上がる。  腰の奥へと集まる熱が急激に温度を上げて、眼窩でちかちかと光が瞬いた。閉じることのできない唇の隙間から、唾液が細い線を描いてこぼれ落ちる。

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