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♥11.求めたその先(7)
「ぃ――っあぁあ!」
悲鳴じみた嬌声と共に、ジークの先端から白濁が迸る。全身を割るように貫かれ、躙るように圧迫された場所から、びりびりとした鮮烈な痺れが走った。
脳が蕩けるような余韻の中、虚ろな眼差しが捉えたのは窓際に佇む鳥籠だった。扉のないその中に入れられるのは誰なんだろう。〝誰〟だなんて不自然な思考にも気付かないほど、ジークの頭は茫洋としていた。そのつもりもなく、ぽろりぽろりと溢れる涙に、ますます目の前の景色がぼやけていく。
焦点の合わなくなった双眸に、止まり木で眠る青い鳥の姿が映る。映ったものの、認識はできない。ましてやそれがリュシーであるなどとは――夢にも思わなかった。
「や……ぁ、あ……ぁ……」
まるで水の中にいるみたいな、不明瞭な視界はいまだ規則的に揺れている。アンリが動きを止めないからだ。
ドロドロになったジークの屹立から、白みがかった残滓と共にさらりとした液体があふれ出る。
閉じることすらできなくなった唇から、うわごとめいた吐息が止めどなく漏れていた。
「あぁっ、ぁ、んっ……や、ぁああっ!」
アンリがジークの両腕を取り、後ろに引くようにしながらいっそう腰を密着させる。
最奥をこじ開けるように何度も穿たれ、大きく上体が仰け反った。突き出た顎先から汗が飛び散り、全身の肌がざわりと粟立つ。
次の瞬間、隘路に熱い飛沫が注ぎ込まれる。と同時に、ジークも再び爆ぜていた。
――これが本当に治療なのだろうか。
頭の片隅に浮かんだ疑問が、浮かぶ端から霞んで消えた。
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