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♥【閑話】お菓子をあげるから/ラファ×ギル(3)
* * *
「やめっ……ぁ、待……っ待てばか!!」
彼が身につけていた下衣はとっくに剥ぎ取って床に放り投げている。
上は袖が抜けず(手首を縛ってあるため)、ボタンも紐もないものだったのでそのまま放置。
できるところまでめくり上げることもなく、時折布越しにまさぐって、けれども突起には敢えて触れない。
「ばかはないんじゃないですか、ばかは……」
他人事のように返しながら、彼の膝裏に入れていた手を更に持ち上げる。
彼が「待てばか」と言ったのは、僕がまだ何の準備もされていないそこに、自身の切っ先をあてがったからだ。
「勝手にしますって言ったでしょう」
「何が勝手にだ! わけわかんねぇことばっか言いやがって!」
「まぁまぁ、たまにはいいじゃないですか」
どうにかして逃げようとする彼の身体を深く折り曲げ、口付けるように顔を近づける。
すると当然のようにふいと顔を背けられたので、それならとばかりにその口許をべろりと舐め上げた。
彼の喉から、ひっと微かな音がして、不本意とばかりに切れ長の瞳が歪められる。
けれども、その肌はうっすらと上気して、普段から高めの体温が、更にその温度を上げているのを僕は知っていた。
「……大丈夫ですよ。壊したりはしませんから」
あなただって期待しているくせに。
心の中で囁いて、窪みの中心に触れさせていた先端で、申し訳程度に襞を躙る。
ちなみに僕も彼もまだ一度も達していない。
なのにぐちぐちと音がするのは、先刻僕が垂らした液体のせい。サイドテーブルの引き出しから取り出した、薄桃色の小瓶の中身は、アンリ特製の魔法薬――アンリが一番得意としている、いわゆる媚薬の系統だった。……特別仕様の。
だから彼が怪我をすることはない。
だけどそれを彼は知らない。知らないから、全力で拒絶を口にする。
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