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♥【閑話】お菓子をあげるから/ラファ×ギル(4)
「無理! 無理だっつってんだろ……!」
「何がですか」
「何がって……そもそもお前、たったそれっぽっちの|潤滑剤《あれ》で……!」
「ちゃんと丁寧にほぐしてくださいって言ってるんですか?」
「ちっ、ちげーよ! んなこと、この俺様が言うわけ……」
「そうですよね」
何でもないみたいに会話をしながら、隙を突くように先端を押し当てる。
するとそのたび、怖いように彼が身体を竦ませて、それを誤魔化すように声を張る。
「ばっ……やめろ! てめぇ後で覚えとけよ!!」
……可愛い。なんて精一杯の虚勢。
そういうところが僕を煽るんだって、そろそろ気付かないんですかね?
「ていうか、俺抱く方だから! ヤやるならお前抱かせろよ!」
「嘘ばっかり」
「嘘、じゃねぇ!!」
まぁ、知ってますけど。それが嘘じゃないことも。
だってあなたの身体を初めて拓かせたのは僕で、それ以前はもっぱら抱く方……っていうかそれ以降も、僕以外には誰にも抱かれてませんもんね。
「素直になっていいんですよ」
それでも僕には抱かれたいって。
彼の口からは一生聞けないだろうそんな言葉を、心の中で勝手に代弁しながら、僕はふふ、と笑みを浮かべる。
おもむろに舌を伸ばし、彼の尖った耳殻を辿ると、それだけで彼の身体は小さく震え、唇は震える呼気を吐き出した。まるで何かを期待するみたいに。
口でなんと言おうとも、触れなくても、見なくても、彼のそれが兆しているのは明白だ。
あえてそれに触ることはしないまま、試すみたいに身体ごと揺さぶると、先端から溢れ出た雫がたらりと腹部へこぼれ落ちる。
「ぅわっ、待……っやめ!」
|胎内《なか》にもまだ挿れておらず、挿れてないのに、まるで抽挿するみたいに彼の下肢を軽く律動させただけで、ぴゅる、と少量の飛沫が飛び散った。
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