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♥【閑話】お菓子をあげるから/ラファ×ギル(6)

「別に躊躇しているわけじゃないんですよ。僕はただ……」  独りごちるように言いながら、押し当てていたそれで谷間をゆるゆると前後に撫でる。  僕のそんな言動に、いつ突き立てられるのかと気が気じゃないような表情を浮かべた彼は、《《そこ》》を切っ先が掠めるたびに、身体をびくびくと強張らせた。  首筋から鎖骨、その薄い皮膚に唇を押しつけながら、放置していた胸元を横目に見遣る。今日はまだ一切触れていないのに、そこに息づく小さな突起が、布越しにもすっかり隆起しているのが分かった。  薬の効果ってすごい。……そして、ずるい。 「怖いんですか? 僕を受け入れるのが」 「べっ……べつに、怖いわけじゃねぇけど……!」  上目に彼の顔を窺うと、一瞬だけかちあった視線がまたすぐに逸らされた。  ……そう、それでこそあなただ。  僕はこの上なく優しく微笑んで、 「――ですよね」  言うが早いか、彼の胎内に屹立を埋め込んだ。 「いぃっ……!」  引きつったような声と共に、彼の喉がびくんと仰け反る。  薬の効果があるとはいえ、《《そっち》》に慣れない身体は反射的に萎縮して、異物の侵入を拒もうとする。  準備不足の割に綻んでいたそこは、それでも痛いくらいに僕の熱を食い締めてきて――。 「きっつ……。ちょっと力抜いてください……まだ先だけしか入ってないんですよ」 「っんなこと、言われても……っ、いっ……あ、ちょ、やっぱ、無理……! 無理だから! 抜けよばか! 今すぐっ……!」 「元気じゃないですか」 「な、ぁ、ぃんん……っ!」  ここでやめる選択肢はない。ないけれど、せめて少しずつ――なんて、やっぱり無理だった。  だってあなたの目から涙がこぼれたから。  苦痛によるものか、生理的なものかは分からないけれど、|際《きわ》に溜まっていたそれがぽろりと伝い落ちたのを見てしまったら、どうしても我慢できなくなった。  僕は急くように彼の腰を抱え直すと、次にはその身を一気に貫いていた。

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