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【閑話】お菓子をあげるから/ラファ×ギル(10)
* * *
何の|汚《けが》れもないようにしわもなく、真っ白だったシーツの上に、対照的ともとれる黒銀の髪、褐色の肌――をこれ以上ないくらいにどろどろに汚した|一人の悪魔《愛しい人》が横たわっている。既に何も身に着けていない彼は、ぐったりと疲弊してピクリとも動かない。
僕が彼の手を自由にしたのは、今更やけに邪魔に映った彼の服を脱がしたかったからにすぎない。
小柄でも非力でもない彼が、普段通りに暴れたら少々面倒で、だから手っ取り早く手首だけでも縛らせてもらったけど(元々そういうのも嫌いじゃないし)、理由はもう一つあった。
(……あなたにはそういう、分かりやすい言い訳が必要ですもんね)
僕に抱かれるための言い訳が。
本当なら、アンリの薬がちゃんと効きさえすれば、すぐにでも解放して良かったんですけど。良かったんですけど……それより拘束したままの方が、あなたの気が楽なのは知っているから。
ね。意外と優しいでしょう?
……まぁ、そんな僕の方が……結局は我慢できなかったんですけどね。
だけど、その結果――。
身体が自由になってもろくに抵抗できないと知ったあなたの反応、表情は…………控えめに言って最高でした。
反芻するたび、思わず頬が緩んでしまう。
堪えきれない笑みを滲ませたまま、見詰める先で彼の伏せられた瞼が微かに震える。それでも意識が浮上するような気配はなく、そんな彼の身体を僕は濡らした手巾で丁寧に清めていく。
下腹部や腹、背中だけじゃない。
薬のせい――だけかどうかは分からないけど――でまともに力の入らないところを、僕に好き勝手された彼の身体は、どこもかしこも酷い有り様になっていた。
全身余すところなく、汗と涙と白濁で、髪先は固まっているところもある。
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