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13.ひと月後(1)
就寝前に、アンリの用意した薬を服用しながらではあったものの、それからひと月ほどは何事もなく過ぎていった。
ジークの心配をよそに、いまだ発情らしき兆候も見られない。
念のため、家からは出ないようにと言われていたその間に、それならとジークは室内でできる家事などを手伝うようになった。もともと掃除や片付けが好きだったこともあり、ジークにあてがわれていた部屋も見違えるほど綺麗になっている。
天井のほこりを払い、床を掃き、窓を磨く。ギルベルトが(ラファエルが?)壊した窓もジークが修理した。
普段から家事を含む雑務は全てリュシーが担っていたが、いまでは他の部屋の掃除もジークが担当するまでになっている。
……とはいえ、例外もある。
アンリのアトリエと、ジークの部屋に積まれているアンリの私物? だ。それには極力手を触れないようにしていた。
最初はせめて後者くらいは片付けようかと、いくつかの箱を開けてみたりしたものの、たまたまそれを見かけたリュシーに、「少しでも平穏に過ごしたいなら触れない方がいいですよ」なんて言われてしまい……結局そっと元に戻してしまった。
詳しい理由はわからないままだ。
わからないけど、何となくリュシーの忠告は聞いた方がいい気がした。
ちなみに料理に関しては壊滅的だったため、手伝おうとした初日早々にリュシーから戦力外通告を受けている。
……怖いくらいの笑顔で、「あ、もう大丈夫です」と。
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