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♥14.契約魔法のせいで(7)

「あ、やっ……そこ、触ん、なっ……!」  リュシーを抱き締めるロイの手が、ついでのように胸の先をひっかいてくる。  長く伸びた爪のおかげで、服の上からでも直に触れられているような――むしろそれを上回るほどの感覚に突起がますます固くなる。 「リュシー……もうちょっと、だから……っ」 (まだ|挿《はい》りきってねぇのかよ……!)  頭の中で蒼白となる一方で、躾けられた身体は次第に別方向へと舵を切る。  痛いのに、苦しいのに、それすら心地いいみたいに変換しはじめるのだ。  下肢が震える。腰が揺らめく。身体が勝手にロイに応えようとしてしまう。|胎内《なか》が潤んで、和らいで、もっと奥へと誘うように蠕動し、ロイのそれを愛しいみたいに包み込む。 「ぃ……っぁ、ああぁっ!!」  ロイがリュシーの両腕を取り、後ろに向けて強く引いた。  その瞬間、身体の中で、あり得ない音が聞こえた気がした。 「はい、った……」  ロイは僅かに顔を歪め、それから恍惚としたような表情を浮かべた。耳に残るリュシーの悲鳴すら、心地いいみたいに目を細める。 「……ほら、大丈夫だったろ?」  ロイは囁くように言って、口端を引き上げた。  目を閉じているリュシーにその|様《さま》は見えないけれど、甘く掠れた声や息づかいから何となく想像はついた。  彼は今、ひどく高揚しているに違いない。 「な、にが……っ大丈夫、だよ……! ぅ、あ……!」  ロイはまだ動いていない。動いていないのに、上擦った声でそう漏らすだけでも歯の根が震える。  奥の奥からの感覚が鮮烈すぎて、怖いくらいに背筋が戦慄いた。 「アンリのおかげとは、思いたくねぇけど……」 「あ……ぁ、深……っ……」  引かれたままの腕が軋む。ロイが思い出したように、腰を動かした。 「やばい、すげえ気持ちいい……」 「ひぁっ、ぁ、やめ、そこ、やだ……!」  リュシーは恐慌したような声を上げる。  そんなところまで、と思うほど奥深い部分に、ロイの|屹立《それ》は届いてしまう。そのまま強引に入り込んでくる。 「い……! あぁっ、や、待って、待っ……!」  胎内であられもない音が響いている気がして、耳を塞ぎたくなる。そこから競り上がる鋭すぎる愉悦の波に、眼窩でちかちかと火花が散った。 「やだっていうわりに、こっちはガチガチだし……中もやめないでって言ってるみたいだけど……?」  言ってねぇよ……!  言いたいのに、口を開けば嬌声しか出てこない。  そんな自分を歯痒く思うのに、身体はもはや先を求めるばかりだった。 「ほら……」 「い、ぁ……っ、あぁっ……」  この期に及んで逃れたいと思っても、後の祭りだ。そんなふうに、戯れのように揺さぶられるだけで、身体は簡単に歓喜を覚える。  熱く充血した粘膜が縋るようにロイへと纏い付き、知らしめるようにゆっくり掻き混ぜられれば、呼応するみたいに内壁がいっそう収縮する。  強制的に開かれたその場所へと、怖いくらいに高ぶったそれが何度も押し入ってくる。やがてぐぽぐぽとでも言うような、形容しがたい音と感触が身体の中から響いてくる。 「ひ――ぁあっ、や、ぁ、だめ、だめ……!!」 「だめ、じゃ、ねぇ、だろ……?」  腰の動きに合わせて、ロイの呼吸が荒くなる。  焦らすみたいに深く浅い抽挿を繰り返されて、その刹那、不意打ちのように最奥を突き上げられると、閉ざされているはずのリュシーの視界が真っ白に弾けた。

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