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♥19.夢か現か(7)
* * *
「んぁっ、あ、きもち、ぃ……っ」
はくはくと開く唇が、普段の姿からは想像もつかないような言葉を紡ぐ。
「あ、っあ、中……熱いの、もっと……っ」
言葉をそのまま表すように、隘路が強請るみたいに収縮する。
身体を返され、腰だけ掲げた格好で、そのあわいを何度も穿たれる。
雫を垂らし続ける屹立ごと押さえ込んでくる腕が、いっそう引き上げるようにしながらこれ以上ないほど繋がりを深くする。
最奥を突かれるたび、びくんと頭が跳ねて、再び上体がシーツに沈むを繰り返す。腕にはもうほとんど力が入らない。
「あっ……そこ、やぁ……っ」
「嫌なのか、欲しいのかどっちだ」
「んんっ……ほし、ほしい……もっと」
だってまだ満たされていない。
一度もらったくらいでは足りない。
薬のせいだろうか。
今夜はいつになく身体が渇く。
カヤの持つ文献にもあったように、淫魔の発情期には個人差がある。数日続くそれを収めるのに一度だけで満たされる者、数回必要な者、そして期間中はずっと渇望する者など……。
そしてジークは、中でも一度である程度は落ち着くタイプだった。……はずなのだ。
(薬の効果か……)
相変わらず意識は酩酊したままなので、定かではないけれど、おそらくは何らかの影響が出ているのだろう。
興味深く思いながらも、今のところ期待していたような効果は見られず、アンリは密やかに舌打ちする。
とはいえ、今宵はアンリ自身も一応発情 中だ。この状況はある意味ちょうど良くもある。
アンリの発情 はすでに理性で何とでもなるものではあるけれど、だからといってこの状態で自制しなければならない理由はない。
「あ、あぁっ、ひあ……!」
白濁の泡立つ水音と、肌のぶつかる音がひときわ大きくなる。
ジークの表情がいっそう蕩 けていく。
揺さぶられるのに合わせて、尖った胸の先がシーツに擦れるのが気持ちいい。
口端からだらしなくこぼれた唾液が幾筋もの線を描き、生理的な涙がとめどなく目元を濡らす。
「あぁ、あ、んっ、い……――っ」
「……っ」
行き止まりを躙られながら、再び注ぎ込まれた白濁の熱さを、ジークは恍惚とした表情で感受する。感受しながら、自身もまた何度目か分からない精を放っていた。
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