144 / 146

♥【閑話】きりかぶの上で/ラファ×ギル(5)

 身体を返される際、下衣は勝手に取り払われた。そのまま仰向けにさせられたため、多少は足が動くようになったものの、 「やっ……離……!!」  結果的には達した直後の気怠さで思うように動けない上、更に脅すように屹立を扱かれ、あげく痛いくらいに握られると、あわよくばラファエルを蹴り飛ばしてやろうなんて考えはすぐに泡と消えてしまった。  ……痛いのは好きじゃない。どちらかと言えば痛みには弱い方だ。  そしてラファエルはそれを知っている。  それなのにラファエルは、明らかに挿入するにはまだ早いそこへと、すぐさま自身を宛がってきた。それも埋めたままの指先で環を広げるようにしながら、無理に作った隙間から押し入らせようとするのだ。 「ま、待っ……無理、無理! つ、使ってねぇって言ってんだろ……!」  薄い皮膚が限界まで引っ張られている。  そこから伝わるぴりぴりとした痛みと、今にも裂けてしまいそうな恐怖心に身が竦む。  当たり前だがこんな状況で力なんて抜けない。その悪循環に苦しさは増すばかりだ。  ギルベルトはすでに一度吐精している。  となれば、ジークもこの場にいない今、後は残滓のような熱が冷めるのを待てばいいだけのことだった。  それなのに――。 「やめろくそ、離っ……、ひ!」  おかげですっかり冴えた頭が、このまま好きにされるわけにはいかないといっそう気持ちを|焦《あせ》らせる。  けれども、どうにか身を捩って逃れようとすればするほど、懲らしめるように屹立を握り込まれ、両手が戒められたままなのも相俟って、物理的な抵抗を封じられてしまうのだ。 「や、ぁ、マジ、やめ……!」  血流が遮断されそうなほど、手指にぐっと力を込められ、ひくんとギルベルトの腰が浮く。  その隙を突くように、ラファエルは自身の先端を中へと埋め込んだ。指先で引っかけるようにしながら、強引に広げた隘路へと、 「もっと、刻みつけないと分からないのかなって……」 「ぃい゛っ……」 「あなたが浮気しないように」  雫を湛えた高ぶりを突き立てていきながら、ラファエルはぽつりと言葉を落とす。  かと思うと、どこか諦めたみたいな微笑みを浮かべ、指を引き抜くのに合わせて更に奥へと腰を進めた。

ともだちにシェアしよう!