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♥【閑話】きりかぶの上で/ラファ×ギル(6)
立派な切り株の上で、
「ぃあっ……も、やめ……っ」
ひっくり返ったカエルみたいな格好で、
「っく……っあ、や、あぁあっ……!」
ギルベルトは屹立の根本を掴まれたまま、|胎内《なか》へとラファエルの熱をくわえ込んでいく。
絡みつくひだが引き摺られる感覚に、ギルベルトの身体が|撓《しな》る。堪えきれない悲鳴を響かせながら、しなやかな胸板を仰け反らせる。
背中で固定された腕が切り株に|擦《こす》れて痛い。服に覆われているとは言え、それでもいくつかの擦過傷と痣くらいはできてしまっているに違いない。
「浮気……ですからね。さっきのも、ある意味」
「はっ……お前、何言っ……ぁ、あ!」
時折浅い抽挿を交えながら、じりじりと身体を割り開かれていく感覚に声が上擦る。
それに合わせてぎちぎちとラファエルを締め付けてしまうのは、喜んでいるからではなくただその場所がそれだけ順応できていないからだ。
「……っ」
その狭さにはラファエルも目を眇めるものの、かと言って手を止めることはせず、それどころか痛々しくめくれた|縁《ふち》を確かめるみたいに指でなぞりながら、なおも一方的に呟いてくる。
「だって……」
その顔が僅かに俯くと、後ろへと流していた|白金色《プラチナブロンド》の長髪が、さらさらと前に落ちてきた。
ふとラファエルの纏う空気が変わる。
「――だってあなたは僕のものなのに」
次に落とされたそれは、どこか拗ねたような、寂しげにも聞こえる声だった。
ギルベルトは唖然とした。
(いや、だから……なんでお前がそんな|表情《かお》するんだよっ……)
まるでそれを隠すみたいに、顔を覆う長髪の隙間から、ラファエルの様子を垣間見る。声と同様、少し沈んでいるようにも見える面持ち。
行動にそぐわない様相に理解が追いつかず、ギルベルトは閉口する。
ラファエルは不意に全ての動きを止めて、小さく息をついた。
束の間の沈黙が流れる。何だか気まずい。
(……いや、違ぇだろっ)
ややしてギルベルトははっとする。
だいたい、いつ俺さまがお前のものになったのか。
思わず「冗談じゃねぇ!」と声を上げようとしたが、それを阻むように先に声を発したのはラファエルだった。
「――だからまずは身体に覚えてもらうことにします」
言うなり、ラファエルはそのキラキラと輝く、艶やかな髪を悠然とかき上げた。そうしてあらわになったのは、まさに天使然とした極上の|微笑み《笑顔》――。
騙された――――!!
今更気付いても後の祭りだ。
開いたままの口はすぐには塞がらず、ただぱくぱくと魚みたいに唇を動かすことしかできない。
そんなギルベルトの反応に、ラファエルは満足そうに微笑むと、
「てめっ……ざ、けんじゃ……っ」
「ふざけてません」
その微笑みを絶やすことなく、片手間のようにギルベルトの片足を肩へとひっかけ、
「あ、待っ……ばか、やめ……っ!」
「やめません」
「や、あ、っ――!!」
ギルベルトの怯むような眼差しにも構わず、次にはその身を一気に貫いていく。
「は、……きつ……」
「だか、……っも、抜けって……!」
「いやですよ……。今|挿《い》れたところなのに」
「いっ……てぇ、んだよ! くそ……! ひ、あぁっ」
望んでもいないのに、無理矢理|胎内《なか》を満たされる。片脚を上げさせられたまま、半端に身体を横に倒され、より深いところを穿たれながら、一方で下腹部を緩やかに扱かれる。
こんなの全然本意じゃねぇし、そもそも俺はお前のものなんかじゃねぇし、つーかそれはこれからも絶対変わらねぇし、だいたい! 俺は|抱かれる《こっち側》じゃねぇっつってんのに!
なのになんで、
「あぁっ……や、やめろ、くそっ……そこ、やめ……!」
なんでちょっと内側から《《そこ》》を刺激されただけで、萎えかけていた熱まであっさり兆しを見せてしまうのか――。
どんなに口で嫌だと言っても、それでは相手を煽るだけだ。それは普段自分も抱く側であるからよく分かる。
「と……とりあえず、腕……、も、|解《ほど》け……っ」
「腕? ……ああ、そんなに痛かったですか?」
後ろ手に拘束されたまま半身にさせられ、一気に腰を引き寄せられると肩まで鋭い痛みが走るのだ。
堪えきれない涙を湛えながらも、ギルベルトが睨むようにして訴えると、ラファエルは抱えていた片脚を内側に倒し、そのままギルベルトの身体を反転させた。
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