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♥【閑話】きりかぶの上で/ラファ×ギル(7)

 されるままに、再び切り株の上へと伏せる形となったギルベルトの背後で、ラファエルが服の結び目を解き始める。ほどなくして緩んだそれが引き抜かれると、ようやくギルベルトの腕は自由になった。  痺れるようだった指先まで、たちまち血流が行き渡る。軋むような痛みはまだ残っているけれど、ともあれこれでいくらか苦痛は緩和された。  ギルベルトは無意識にほっと息をつき、身体の力を抜いた。  「マジ、ねぇわ……腕もげるっつーの……」  ぶつぶつと愚痴るかたわら、両手を顔の横につき、腕の動きを確認しながらゆっくりと上体を持ち上げる。  すると背後から、ぐちゅりとなんとも言えない水音が――。 「…………」    そこで今更思い出す。  身体はまだ繋がったままだということを。  さらに追い打ちのように落とされたのは、笑うような呼気を孕んだ、柔らかな囁きで、 「これで終わりじゃないですよ……?」 「っ、は……?!」  両腕をついた格好のまま、ギルベルトはとっさに振り返る。  その視線の先で、ラファエルは当然のようにギルベルトの腰を掴み、かと思うといっそうあられもない音と共に楔を最奥へと打ち込んだ。 「ぃ、っ――!!」  ギルベルトの背筋が弓なりに反れる。  ラファエルは上体を屈めて、誘われるようにその|項《うなじ》へと唇を寄せた。髪が張り付く肌に舌を伸ばし、毛先を払うように舐め上げる。  片手を胸元へと伸ばし、早く触ってほしいとばかりにツンと隆起した突起を弾く。きゅっとつまみ上げれば、内壁が喜ぶみたいにラファエルを締め付けてきた。 「ふふ、可愛い……」 「や、あぁっ、あ、死ね、くそ……!」 「相変わらず口が悪いですねぇ」  ラファエルはびくびくと震えるその背にキスを落とし、改めて上体を起こすと、ギルベルトの腰を両手で掴み直した。そして一気に律動のペースを上げる。 「あぁっ……! あ、や、も、無理、やめ……っ」 「どこに行くんです」  逃げたいように前のめりになっていく身体を引き戻し、あえて自分本意の抽挿を繰り返す。仕方ないように片手をギルベルトの屹立へと伸ばし、戯れに先端を躙りながら、それごと押さえ込むように下腹部を手のひらで圧迫する。  自分の手の中で、自分の思うままに、啼いてくれるギルベルトが可愛くてたまらない。 「ん、あ、ぁ……っもう、ゆ……」  ばちゅん、ぱちゅんと、|ギルベルト《自分》がされている側だと思えば耳を塞ぎたくなるような音がする。ギルベルトは腕を突っ張ったまま、もはや抗う気力も体力もなく、ただラファエルに揺さぶられるしかなかった。  煽られるままに反り返った屹立から、垂れた雫が切り株へと線を繋いでいる。  すっかり上気した褐色の肌、涎と涙で濡れた顔、茫洋と焦点の合わない瞳。  頭の中が白く瞬き、明滅する意識の中で、ギルベルトはつい口にしてしまいそうになった。  ――許して。なぁ、頼むから。  もう、お前の言うとおりにするから――。 (……何で俺がそんなこと……!)  うっかり言いかけたのは、懇願の言葉だった。  もちろん、本心なわけない。 「許して欲しいんですか?」 「は……、何、がっ……」 「許してあげてもいいですよ」 「る、せっ……くそ、いらねぇよ!」 「そうですか……」  だいたい、|悪魔《ギルベルト》が快楽に弱いのは種族特性でもあるのに、そこを責められるのもおかしな話だ。  それにそもそも話が違う。  ラファエルは聞かれたことに答えればちゃんと解放すると言ったのに、そうしたところで一向に放そうとしないではないか。 「じゃあ、もう少し好きにさせてもらいますね」  言うなり、ラファエルはギルベルトの片手をとった。あえて優しく、労るような手つきで。  けれども、その次に何が来るのかは想像に容易く、ギルベルトは呼気を震わせながら、せめてもと声を上げた。 「てめっ……この、いますぐ堕天されろ……!!」 END (次ページから本文に戻ります)

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