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若頭補佐3

そう話す幹部の隣では、中年ヤクザと舎弟分が険しい顔をしている。 しかし真志喜は全く気にも留めない様子で悠々と答えた。 「喧嘩の話がしたいのなら、当事者同士が話せばいいでしょう?何も自分たちが関与することじゃないはずです」 「子の喧嘩の責任を親が取るのは、当たり前のことだ」 今まで沈黙を貫いていた組長がそう言って葉巻を口に咥えた。 それにすかさず舎弟が近づき火をつける。 (今時葉巻はねぇだろー) 真志喜はまたも表情には出さず心の中で呟いた。 「それは素晴らしい家族愛ですね。でもそう言いますけど、実際のところは当人同士が話し合っても埒が明かないから、こういう形で我々を呼び出したわけでしょう?」 その途端、グッと身を乗り出した幹部が真志喜の胸ぐらを掴み上げた。 机1つ挟んだ状態で2人は立ち上がる。 「あまり舐めたこと言ってんじゃねぇ。どっちにしろ責任はオタクらの方にあるんだ。どう落とし前つけるんだ?あァッ?」 咄嗟に立ち上がろうとした舎弟たちを、真志喜は手で制す。 そして相変わらずの笑みを浮かべて、片足を僅かに持ち上げプラプラと揺らした。 「乱暴な人だなー。自分は話し合いをする為に呼ばれたはずなんですがね?」 「ンなもん、はなっからそっちに問題が…」 相手が言い終わるのよりも早く 真志喜の振り下ろした足が机を真っ二つに破壊した。

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