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大嫌いな男5
「真志喜、これは決定事項だ。拒否権はない。どんな条件でも仕事をこなす、それが一流という…」
「お断りだ!」
「おい…」
「あんなヤツと行く必要ない。俺1人で全然やれる!」
「話を聞け…」
「第一あいつとの方がかえって上手くいかないし!そんなことさせるより、全部俺に任せた方が…」
「お前らがいつまでもそんなだから、こうして協力させようとしてんだろうが」
「うっ…」
痛いところをつかれ、何も言えなくなる。
そんなたじろいだ俺をまっすぐに見つめ、正嗣はゆっくりハッキリ告げてきた。
「もう一度言う。お前に拒否権はない」
その言葉に絶望していると、後ろに誰か立った。
振り返ればニコニコ笑みを浮かべた迅がいる。
「ということみたいだけど、どうする?真志喜」
「ッ、迅テメェ…」
俺が反論できないと分かった上でこの態度。
マジでムカつく。
「チッ…。おい、足引っ張ったらブチ殺すからなッ」
「オッケーってことだね?嬉しいなぁ、初めての共同作業だ」
「気色悪いこと言ってんな!」
基本任された仕事は何でもこなすが、迅が一緒になるというだけで激しく憂鬱だ。
しかし他の組のヤツらが好き勝手しているのを見過ごすわけにもいかない。
その為には多少の我慢は必要だろう。
「それじゃあよろしくね、真志喜」
「…つーか。普通本部長のお前がこんなことする必要ないよな。もしかして直談判したのか?」
「さぁ、どうだろう」
迅がふっといつもの笑みを浮かべる。
正直俺は、この“物好き野郎”の考えていることが、昔からよく分からない。
あの日、俺の前にまだ小さかったその手を差し出してきた時から──。
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