12 / 208

大嫌いな男7

なんとか回復した迅が駆けつけると、ビルの中は既に戦場だった。 「あちゃー…」 正直いうと、こうなる事が嫌で外で待機するよう言ったのだ。 ってかこれ、ちゃんと話し合いとかしたのか? 襲いかかる男たちを、真志喜がバッタバッタと鎮圧していく。 その身のこなしは見事なもので、荒々しいはずなのにどこか美しささえも感じるのだ。 こちらにまで殴りかかって来た相手を蹴り飛ばす。 もうこんな騒がしいと、話し合いどうこうと言ってられないな。 「クソッ。ふざけやがって、このチビ!」 「っ…!」 やけになった男が手にした拳銃に瞠目した。 やはりこいつら、薬だけじゃなさそうだ。 「真志喜さん!」 榎本が叫ぶのと真志喜が拳銃を持った相手に突っ込むは同時だった。 いきなり突進して来た相手に動揺し、男が後ずさり引き金を引こうとする。 しかしそれよりも早く相手の懐に潜り込んだ真志喜が、グッと男の手首を掴み上に捻り上げた。

ともだちにシェアしよう!