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あの頃7
「俺も中学に上がった頃、初めて真志喜に会いに行ったなぁ。俺どうしていいか分からなくて、会って早々に真志喜と謎の握手した」
「私は元々ここにいたので見かけたりはしていましたが、話をしたのは真志喜がやって来て2年くらい経ってからですね」
「……な、なんか、すごい話ですね…」
呆然と話を聞いていた彼方は、息を吐くように言葉を漏らした。
先程出会った彼からは想像もできない過去だ。
今はその面影すらなく、それどころかアプローチまでしてきた彼を思い出す。
「一体どういう経緯で今のようになったんでしょう…」
「ほんとだよなぁ。しかも中学高校のあたりとか相当グレてたし」
「喧嘩ばかりしてましたねぇ。いつも生傷が絶えなくて、どんどん喧嘩する相手の人数も増えていきましたし」
「最終的に30人とか相手してなかったか?」
「さ、30!?」
「正確には34人ですね」
さらりと答えてお茶をすする清に、彼方は言葉を失った。
なんだかもう、話が人間離れし過ぎている。
「えっと…。その迅さんに連れられてくる前のことは、今も分からないんですか?」
「知らないな。迅のやつは何か知ってるみたいだけど話さねぇし」
そう言って2人が溜息をつくと同時、襖の向こうから「失礼しまーす」という声がし返事を待たずに開けられた。
「あ、やっぱここにいた!」
そう言って嬉しそうに笑う真志喜に、彼方は目をパチクリとさせる。
「こら真志喜。返事する前に開けてはいけないと言っているでしょう」
「はーい」
清の注意にも適当に返し、真志喜は彼方の目の前に座った。
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