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隠した心

どうしてこうなった…。 あれから引きずられるように迅に連行され、車に乗せられ、気づけば老舗の高級和食料理店に到着していた。 この場所は真志喜も何度か来たことがある。 ここのオヤジさんがヤクザ顔負けの強面で、度量も見た目相応のものがあり、俺たちのような輩がやって来ても特に動じたりすることがない。 向かい合ってニコニコ笑みを浮かべている迅。 こういう時は大体俺に無理なお願いをしてくると相場が決まっている。 「何が目的だ」 「その前に冷めないうちに食べない?」 単刀直入に尋ねた俺に、迅はそう言って箸を手にした。 なんだかはぐらかされた気がするが、仕方なく食べ始めることにする。 俺は日南組の中でも1番の大食いだ。 よく清さんに「その体の何処に入っていくんですか」と呆れたように言われる。 こんなに食べるのに背が伸びないこともサラッと指摘してくるから胸が痛い。 まぁこれは清さん相手の場合で、他のヤツが言おうものなら半殺しだ。 「ん〜っ、うま!」 季節ならではの食材を使った繊細な料理たちに、俺はあっという間に夢中になっていた。 茶碗蒸しや天ぷら、お吸い物。 どの料理にも目を輝かせその美味しさに感動する。 そうして俺がパクパク料理を食べていると、お茶をすすっていた迅が湯呑みをテーブルに置き、口を開いた。 「それでさ。真志喜に頼みがあるんだけど」 「!」

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