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隠した心2
すっかり食べることに夢中になっていた俺はハッとする。
そして気づいた…。
すっかり餌付けされとるやないかい!
(謎の関西弁)
「チッ、なんだよ、態々飯まで食わせやがって」
「美味しくなかった?」
「めちゃめちゃ美味かったよ!」
「そう。ならよかった」
「お前を褒めたわけじゃねーから!」
くそ、この眼鏡野郎…。
余裕そうな顔をしやがってマジ腹立つ!
「…で。頼みってなに」
「うん。実は仕事を手伝って欲しくて」
「…またお前と協力しろと?」
「残念ながら一緒にってわけにはいかないんだ。俺は俺で別のことも片付けなきゃならない」
こいつが自分の仕事で協力を求めてくるなんて珍しい。
余程骨が折れる案件なのだろうか。
「簡単な事務仕事だよ。怪我したりするようなことはないから安心して」
そう言って笑う迅。
俺は数日後、その顔に心から殺意を覚えることになった…。
***
何が「簡単な事務仕事だよ」だあの野郎…ッ。
事務所のデスクに積まれた資料の山、山、山。
一緒に仕事をこなしている5人も同様。その資料たちだけでデスクが埋もれるほどだった。
今回、迅のやつはそれなりに大きな仕事を任されているらしく、事務所を抜けて遠出しなくてはならなくなったらしい。
そしてその案件での大量の契約書。
さらに日頃の運営や管理費の管理といった事務仕事。
それを要するに俺に押し付けやがったのだ。
「幸い真志喜にはやり方も教えてるからさ。他に頼める相手も限られてくるし。ちゃんと親父や正嗣からも許可はもらってるし」
そうニコニコ話していたあの顔をぶん殴ってやりたい。
パソコンをカタカタし続け、これで三徹目…。
さすがに気を抜くと魂が抜けてしまいそうだ。
その時携帯に着信があり、殆ど白目を剥きながら画面を見る。
そこには知らない土地をバックに満面の笑みでピースしている迅の写真が…。
「死ね!!」
真志喜は反射的に携帯をブン投げ、それに周りはビクッと体を揺らすのだった。
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