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隠した心3

軽い昼休憩の時間、事務所の中には幾つもの死体が転がっていた。 「も、もう無理…。もう死ぬってマジで…」 「俺、何度か意識飛んでたわ…」 「ベッド…ベッドが恋しい…」 うーうー呻く若衆たちの中、真志喜も死んだ魚のような目でバランスボールに座ったままコーヒーを飲んでいた。 明日には迅が帰ってくることになっているので、最悪今日を乗り切れば解放される。 まぁあくまで予定の範囲だし、別の言い方をすれば今日中に残りを片付けなければならないというわけだ。 「こんなのおかしいっすよ!全部俺らに仕事押し付けるなんて!」 目を真っ赤に充血させた若衆の小林が、突然そう言って声を荒げ始めた。 こんな場で本部長に不満を言うなど相当なことだが、いい加減ストレスも凄いのだろう。周りも敢えて止めようとはしない。 「丸投げなんて普通しませんよ!ねぇ真志喜さん!」 同意を求められた真志喜へ、周りは一斉に視線を向けた。 当の本人はバランスボールに乗ったまま目を閉じている。 そして少し経ってから、その目蓋をゆっくりと開け、呟いた。 「…寝てた」 「えぇ!?」 周りがずっこけそうになる中、真志喜は「うるせぇな。俺だって寝不足なんだよッ」と不機嫌な様子で頭をかく。  「ま、真志喜さんも、迅さんは無責任だと思いますよね!?」 またも同意を求めた小林に、真志喜はすっと視線を向けた。

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