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隠した心6
カシャっとカメラのシャッター音がして目が覚めた。
そして目の前に広がった光景に眉を寄せる。
「おい、何してる」
「真志喜の寝顔が堪らなく可愛かったから、つい」
そう言って爽やかな笑みを浮かべる迅に、真志喜はさらに眉を寄せた。
「ついじゃねぇこの変態野郎。それ携帯の待ち受けにでもしてみろ、殺すぞ」
「え。駄目なの?」
「する気だったのかよッ。ってかその前にッ」
勢いよく起き上がって、隣で寝転がった迅をガシガシ足で蹴る。
まだ寝起きの頭でも、この状況がおかしいことはよく理解できていた。
「なんでお前が部屋にいるんだ!しかもなに一緒に寝てんだ!」
「真志喜慌てすぎ。添い寝なんて普通でしょ?これ以上のことだってしたことあるじゃん」
「黙れ!」
いきなり起き上がったからか、なんだかクラクラして堪らずベッドに倒れ込んだ。
痛む目を閉じて、ため息をつく。
「お前帰り今日だったろ…」
「真志喜に会いたかったし、少しでも早く解放してあげたかったら。頑張って向こうでの仕事終わらせて来た」
そう答えた相手を横目に見る。
きっと相当忙しかったのだろう。迅の目元には隈ができていた。
そんな中、俺に写真なんて送ってきたりして…。本当、バカなやつだ。
「朝飯、お前が作れよ」
「うん。真志喜が好きなホットケーキ作ってあげる」
頭を撫でてくるその手を、俺はもう面倒くさくて払い除けはしなかった。
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