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大好きな人5
怪我でもさせてしまったら大変だと、周りは2人を離そうとしたが…
「初めまして。俺、凪っていうんだ」
そう言って凪さんが真志喜の前に膝をついた時は誰もが凍りついたものだ。
そんな凪さんをジッと見つめていた真志喜は
信じられないことに、凪さんが差し出した手をキュッと握り返した。
あの衝撃を、迅は今でも忘れない。
迅がここへ来たがらない理由は、この姿を見るのが心苦しいからであった。
要するにヤキモチだ。
真志喜に心を開いてもらうのに自分は1年もかかったというのに、凪さんは一瞬でそれを成し遂げてしまった。
今も真志喜に誰よりも慕われている姿を見ると、とても平常心ではいられない。
「兄さんは元気にしてる?」
「いつも通りだよ。オカンみたい」
「あはは、相変わらずだなぁ。俺も昔よく叱られたっけ。また時間があれば来るように言っといて」
「うんっ」
満面の笑みで頷く真志喜を、迅はコーヒーを飲みながらぼんやりと眺めているのだった。
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