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大好きな人6

「はー、楽しかったーっ」 ニコニコと上機嫌な真志喜に、運転をする迅はチラリと視線を向ける。 楽しかったというのは買い物のことではなく、凪さんに会えたことへの感想だろう。 服選びはあんなに嫌がっていたのに、カフェでは終始笑顔を浮かべていた真志喜の横顔を思い出して敗北感を感じる。 こんな自分にまるでガキだなと呆れるが、真志喜のこととなるとどうにも上手くいかない。 なので今では殆ど開き直っているわけで。 「ん?おい、こっち俺の家じゃな…」 言いかけてようやく俺の意図に気がついた真志喜に、車を停止させた俺は口付けた。 甘い雰囲気に変化した車内で、真志喜が「ぎゃー!」と悲鳴を上げる。 「ふざけんなバカ!もしかして、初めからこれが目的だったのかよ!?」 「違うよ。急遽変更した」 「なんで!」 「ね。いいでしょ?今日、うちに泊まって行きなよ」 「いーやーだー!」 「真志喜。いい子だから…」 「!?」 ギュッと抱きしめられ、真志喜は息を吸った。 そしてグルグルと百面相を繰り返し、ぐぅぅぅぅぅ…っと唸り声を上げる。 「……………朝」 「?」 「あ、朝には、すぐ帰る…っ」 「…真志喜」 「うるさい!いつまで路上駐車してんだバカ!」 顔を真っ赤にさせる真志喜に、迅は満面の笑みを浮かべ、頷くのだった。

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