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罠2
俺の声に、仲良くビクッと反応した2人はこちらを見た。
そして正嗣のやつがあからさまに顔をしかめてくる。
俺はその態度に構わず言葉を続けた。
「彼方さんは可愛いから許すとして、正嗣は若頭としての自覚があるのかよ」
「お前が言うかナンパ常習犯」
即座にツッコミを入れ、後ろからやって来た迅を目にした正嗣は、仕返しとばかりに口の端をつり上げた。
「なんだよ。昨晩はお楽しみだったみてぇじゃねぇか」
一緒にやって来た俺たちを見てニヤリと笑った正嗣に、ウグッと俺は言葉を詰まらせる。
対して迅は否定することもなくニコニコと微笑むだけであった。
いや、なんか言えよ!
「俺は被害者だ!変な解釈してんじゃねぇ!」
「うそ。後半とか結構ノリノリだったじゃん」
「うっせ絶倫!」
こちとらあの後も何回もこの獣に襲われて、正直体がガクガクしているのだ。
こいつはホント毎回しつこくて嫌になる。
俺の発言に正嗣は「ブ…ッッ!」と噴き出し、彼方さんはポカンと呆気にとられたような顔をしていた。
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