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罠4

辿り着いたカフェは、やはり開いておらず真志喜は表情を一層険しくさせる。 そもそも相手の目的はなんだ。 先程聞こえた会話。 凪さんの店に柳田組の連中が現れたという情報。 凪さんは歴としたカタギの人間だ。 そんな彼を巻き込むとは、外道にも程がある。 「おいお前」 背後からの声に、真志喜はゆっくりと振り返った。 「あ゛?」とドスの利いた声を発し、殺気に満ちた眼差しを向ける。 その真志喜の圧に声をかけた2人組の男は怯んだが、次には気を取り直して言い放った。 「三浦凪。そいつを助けたいなら、一緒に来い」 「……テメェら、舐めてんのか…?」 「っ、下手な真似したら、あの兄ちゃんの無事は保証しねぇぞ」 「……」 その視線だけで人が殺せそうなほどに、真志喜は憤っていた。 それでもなんとか感情を押し殺し、同行することを了承する。 なんとしてでも、凪さんは助け出す。 俺はあの日、凪さんを守ると決意したんだ。 俺の恩人である凪さんを、俺は誰にも傷つけさせはしない。

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