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罠6
連れてこられたのは港の倉庫街のひとつ。
促されるままに中に入れば、呆れるほど柳田組のやつらが集まっていた。
こんなとこに群がる暇があるのかと悪態を吐いてやりたいところだが、視界に入った凪さんの姿に思考を止めた。
「真志喜!」
まるで来たことを咎めるような口調に、凪さんらしいと感じてしまう。
彼は後ろ手で拘束されており、とても丁重な扱いとは言い難いものだった。
ただでさえ沸点の低い俺には、怒りを隠すことは無に等しい。
「…これは、どういうつもりだ」
怒りで我を忘れそうになりながら、意図せず低くなった声で尋ねる。
すると前に出て来た中年親父が、我が物顔で口を開いた。
雑魚は集団で行動しているとやたら威勢がいい。
「欲しい情報がある。この兄ちゃんを交換条件に話してもらおうか」
「俺に仲間を売れってのか…?」
なんで最近は、こうも手荒い連中が立て続けに続くのだ。
今時暴力でどうこうなどと、馬鹿馬鹿しいにも程がある。
まぁ売られた喧嘩はきっちり買う主義ではあるが。
「この兄ちゃんを薬漬けにしたっていいんだぜ?美人さんだし、それなりに需要はあんだろ」
………あー、無理だ。もうそろそろ限界。
考えもなしに凪さんを脅しのように使ったこと、後悔させてやる。
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